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2014-08-15

一年の教訓

前置きになるが、今回の記事はいつにも増してかなり長い。なのでまあ、何の気なしにここへやって来てしまった人は読まないことをおすすめする。笑 ただこのことについて、いつかは書きたいと思っていたことなので、いいタイミングだと思って、ほぼ自分の記録用に今書いておこうと思う。


今日は会社の同期と人事担当の方で集まって、就職してから一年間の研修について振り返るという会が催された。同期は私含め3人+人事担当の方1人で、計4人という少人数で食事とお酒を交えながらの、なんの堅苦しいこともない対談がスタートした。一応会社の採用ページに載るらしいのだが。

人事さんを含めたその4人は、去年に私たちが新卒として正式に入社する前からこうしたオフでの交流会をまめに行っており、会社での配属先も(立場も)ばらばらだったが、それぞれの抱える仕事上の苦楽を打ち明けて来た、いってみれば同志ともいえる仲である。そんな方々と共に、去年の一年間を振り返ると、今だから言えるよね的な話がたくさんでてきて、私はその一年間の自分の状況や心境の移り変わりをリアルに思い出した。正直、一時までは本当に辛かったし、同じ会社の同期や周囲の人たちからもすごく心配されていたのだ。

ここでは正式に私の職について発表していなかったが、私は大学を卒業してから新卒としてある企業に就職し、有料老人ホームのスタッフとして働いている。その仕事は業種でいえば「介護」という名称のものに分類される。
人から「仕事は何をしているか」ときかれて、ストレートにこの「介護」という回答をすると、10人中9人か10人の反応は「へー大変そうだよね」というようなものである。その反応に対して、こちらとしてはどう答えるのが正解かというのは、未だに分からない。(最近はこのやりとりが面倒で「とあるサービス業です」などといってみたりしている。)しかし、これが今の日本という国においての世の中の人の認識であり、そう答える人たちがダメだという訳ではなく、むしろ現状では仕方が無いことなのだと思う。しかし、いつもその決まりきったような期待通りの反応が帰ってくるたび、少しやりきれない思いや虚しい思いがする。私が一年間、この業界の中に曲がりなりにも身をおいてきたが、世間の認識やメディアが世間に伝えているイメージとはかなり違うという実感がある。それは実際にこの世界に入職する前から感じていた違和感で、漠然と「このイメージの低さはおかしい」と感じていたことなのだが、一年業界で働いて来た身としても、やはりおかしいと思うのだ。少なくとも私が働いている施設や同期の話では、世間の思っているような特別に大変だというような暗いイメージの業界ではないのだ。

私がこの業界に就職しようと思った理由は、話せば色々あるのでまた別の機会に書こうとも思うが、かいつまんで話すと
・音楽をやりつつだが家庭の状況で就職活動をすることとなり、どうせなら自分に欠けている人間力を伸ばすため人と関わる仕事がしたかった
・親が病気になってから介護スタッフの人が家に手伝いにきていて、弱い立場の人やそれを介抱する人たちを身近に感じていた
・就職活動中に介護関連で出会った人たちや、身近にいる介護スタッフの人たちが自分にない人間魅力をもった人たちが多く、働くなら心から尊敬できる人たちと一緒に働きたいと思った

というようなもので、タイミングや価値観の変化などが重なって、めぐりめぐってこの業界の今の会社に就職することとなる。

そこで入ってまず不安に思うのは、ご入居者の日常生活の色々なものに関わるということ。寝食や入浴や排泄も含め、それは本当に全てである。私自身、人様の生活動作の手伝いをするという経験が全くなかったため、ここが本当に不安であったが、これは慣れてしまえば今となってはほとんど苦に感じる点ではなかった。
また認知症の方などへの対応も不安であった。同じことを繰り返し言ったり、支離滅裂なことをいっている人の対応も、それまで全く経験したことがなかったため、最初は不安でとまどうこともあったが、これもすぐ慣れた。その人によって特徴や症状の出方も違うので、本当に危険で手を付けられない人もいると思うが、私の仕事場の環境ではそこまで酷い症状の方もいなかった。やはりそれも、大きくいえばその人のもつ個性の一部のようなもので、こちらが上手く対応することができれば、その本人も穏便に、周りとも大きなトラブルもなく過ごせる。そうゆう点で、普通のサービス業とは違う視点が要求されるように思う。ただ丁寧にすればいいという訳ではなく、その人の症状やレベルのようなものやその時の状態によっても、対応の仕方が変わってくるし、その認知症によってその人の発した言葉に合わせたり、その人にその場を気持ちよく過ごしてもらうには、正しいことをいったり、こちらの指示に従ってもらうことが全てではない。たとえ間違っていることでも、全くの幻想幻覚でも、そこに合わせて頷いておくのが得策という場合もある。まだ一年そこらで大それたことはいえないが、難しくも奥が深い世界だと思うのだ。

そんなこんなこの一年間の研修期間で、実際の介助法だけでなく、会社の理念や介護に対する考え、入居者のバックグラウンド、なぜその介助をするのかという根拠などを学んで来た。本当に内の会社はその研修内容についてはとても充実していたと思うし、ほぼなんの知識も経験もない業界素人の私でもなんとか大きくつまづくこともなく業務を独り立ちするまでになれた。やはりこれは感慨深いことであり、周りの関わっていた全ての人たちのおかげだと思う。心から感謝している。

ただ、私は配属されてから3ヶ月、もしくは半年間くらいまでは、正直本当に苦しくて辛かった。同期を含め回りのみんなからも、「顔が暗い」「辛そう」と心配されていた。その理由は、ほぼほぼが職場での人間関係が原因となっている。しかし今となって考えてみれば、誰が嫌だとか誰がいけないとかではなかったのだろう。(施設のトップの人だけは、今となってもチクチク嫌みをいうような人ではあるが、この人はもう中身が一生子供だと思うようにしている。)自分がその環境に最初にうまく馴染めず、知らぬ間に壁を作ってしまったことで、周りの人からも絡みづらいと思われ、そこから負のスパイラルになってしまったようだ。ピーク時まで言ったときには、周りは「あの子、そのうち辞めるんじゃないか」と思ってた人もいたらしいし、私の方は「みんなから辞めろって思われてるんだろう」と思っていた。そんな被害妄想まで生まれるような日々でも「表情だけは明るくしろ」と毎日のように言われていて、どこかに逃げ出したい気持ちだった。

ただ最初がうまくいかなかっただけで、そのギクシャクも時間の経過とともに、そして少しずつ仕事で色々な人と関わっていくうちに、お互いの誤解もとけていって、今ではプライベートでも仲良くしていただいて、仕事でもいつも支えていただいている信頼できる先輩方ばかりである。音楽活動についても、今はみなさんからも結構応援していただいている。今となっては、みんな根がいい人であることも分かり、私にとって今の職場は、基本的に楽しく自分を人間として常に磨いていける空間である。どれもこれも環境の変化という面もあると思うが、自分自身で少しずつ変えていけたのだろう。最初に悪くしてしまったのも自分だし、少しずつ変わろうとしていったのも自分。一年間終わって、色々な状況が変わってみて、つくづくそう思う。環境のせいにしてはいけないし、色々なタイミングも運も、自分自身の想いや言動が引き寄せていくものだと思う。

一年間振り返ってみても、私はこの仕事が特別大変だとは思わないし、就活の流れの中で自分自身の選択で選んだこの職業も、間違いではなかったと思う。本当にこの一年で人間力というか、常識や人間として欠けていた大事な部分をたくさん学ぶことが出来た。私がただ音楽を志す人間であれば、こんな就職はただの寄り道で無駄足でしかないかもしれないが、私は就活前、本能的に「このまま音楽だけを志せば、自分という人間は大事な部分に一生、ぽっかり大きな穴があいたままだ」と漠然と思っていた。音楽で成功したとしても、このままでは人間としてすごく欠けている人になってしまうと、すごく恐れていた。そうした漠然とした危機感とをもって、生活の安定以外の目的で、自分の修行の場としてこの職を選んだ私の選択は、間違いではなかった。

私は将来的には音楽を志す身である。ただ、ここで培った経験や感じて来たことは人間として大事な、少なくとも私の人生には必要なことであるため、色々なことを吸収して納得できるまで、また経済面でも少し安定して音楽を生業にしていけるくらいの素地がつくまでは、この職に身をおいておくつもりである。まっすぐに音楽だけを志している人たちと比べれば、どんどんどんどん遅くなるかもしれないが、私という人間はこの回り道を選ぶことに悔いはない。


さきほどの、職業をきかれた時の「介護」という私の回答に「そうなんだ、優しい人が多いよね」という反応をしてくれた人が、今までで1人だけいた。その人はその時初対面であったが、私は一瞬でその人は人間的に素晴らしい人だと思った。そして、今でもすごく信頼していて音楽活動のお手伝いをしてもらっている人の1人だ。世の中のイメージや印象だけで、人や物事をとらえないというのは、大事なことである。これは以前アルバイトで出会った、性同一性障害と向き合っている友人からも学んだことだ。私も表面だけではなく、常に本質や中身をみようとしていく人でありたい。
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神楽サティ

Author:神楽サティ
神楽サティ(かぐらさてぃ)と申します。
シンガーソングライターの端くれをしています。R&B、Rock、歌謡曲などを含んだ「ポップス」を目指して、現在ライブハウスで活動中。主に気まぐれなつぶやきですが、よかったらのぞいていって下さい。

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